あなたの痔はどのタイプ?診療方法と肛門科診療のタイミング

肛門の解剖を表現する断面としては、「ドクターボラ 痔疾患の基礎講座」で用いた冠状断のほかに矢状断(しじょうだん)があります。(裂肛の好発部位で使用)

  • 冠状断:正中面(身体を左右に二等分する面)に垂直なあらゆる平行面。
    (身体の左右を貫く面) 通常一般的に用いられる。
  • 矢状断:正中面に平行なあらゆる垂直面(身体の前後を貫く面)。

痔のタイプ

痔のタイプは痔核(いわゆるいぼ痔)、裂肛(いわゆる切れ痔)、痔ろう(いわゆるあな痔)の3つに大別できます。
男性・女性ともに痔核がもっとも多く約半数を占めます。次いで裂肛・痔ろうが多いですが、裂肛は女性に多く、痔ろうは男性に多い傾向にあります。

どのタイプの痔でも適切な診断をうけ適切な治療を早期に行えば治癒します。
したがって痔の症状を認める方は自己判断で治療せず、医療機関を受診し適切な治療を受ける必要があります。
その場合はかならず肛門科を受診してください。

痔核とは?

痔核は発生場所により内痔核と外痔核に分類されます。
内痔核は進行度にともない出血や脱出症状を伴し、通常は痛みを伴いません。
しかし、脱出性内痔核になると痛みを伴う場合もあります。
外痔核は痛みや肛門周囲の腫脹を伴います。

裂肛とは?

裂肛は主として硬い便により肛門上皮が裂け、排便時の激しい痛みや出血を認めます。

痔ろうとは?

痔ろうはその前段階として肛門周囲膿瘍という状態があり、肛門の周囲が化膿し膿がたまる病態をいいます。
その後、膿がそとへ排出されると痔ろうという状態に移行します。
肛門周囲膿瘍と痔ろうの場合は肛門周囲の腫れや激しい痛みだけでなく、38度~39度といった高熱を認める場合がおおく坐薬ではなおりません。
手術治療が必要となってきます。

痔核(内痔核、外痔核)

肛門周辺の粘膜下には血管が集まって肛門を閉じる働きをするクッションのような部分があります。
肛門への負担が重なるとクッションを支える組織が引き伸ばされ、クッション部分が大きくなり出血したり、肛門の外に出たりするようになります。
このような病態を痔核(いぼ痔)といい、痔核は内痔核と外痔核に分類されます。

内痔核、外痔核

病態動静脈叢に血液がうっ血し、膨らんでこぶ状になった状態。
分類発生する場所によって、2つに分類。【内痔核】歯状線より上(直腸)側 
  • 症状により4つに分類(Goligher分類 Ⅰ~Ⅳ度)
  • 初期には痛みはない⇒随伴性裂肛や外痔核を伴うと痛みを伴う
【外痔核】歯状線より下(肛門)側激しい痛みを感じる.

外痔核とは図のごとく歯状線より肛門側に発生したもので激しい痛みを感じ、肛門近傍に硬いシコリとして触れるのが一般的です。

一方、内痔核とは歯状線の口側に発生したもので、一般的には痛みを伴いません。
内痔核の症状としては第一に出血があります。
これは真っ赤な血が特徴で紙につく程度から便器が真っ赤になる程度までさまざまです。
つぎに排便時の脱出もひとつの症状です。
他には疼痛や分泌物などがあります。

特に進行度による分類 Goligher分類(下記図)のIII度以上のもので裂肛や外痔核を伴うようになると激しい痛みを伴うことになります。

Goligherの内痔核分類

分類症状
Ⅰ度いぼ痔の分類:Ⅰ度出血が主な症状で肛門の外に脱出しない
Ⅱ度いぼ痔の分類:Ⅱ度排便時に脱出するが、排便後自然に元に戻る
Ⅲ度いぼ痔の分類:Ⅲ度脱出後、手で押し込まないと戻らない
Ⅳ度いぼ痔の分類:Ⅳ度排便と無関係に常時脱出している(陥頓痔核)

内痔核の重症度分類にはGoligher分類(上記図)があります。
Ⅰ度は出血のみのもの、Ⅱ度は排便時に痔核脱出するが、排便後には自然に戻るもの、Ⅲ度は脱出後、手で押し込まないと戻らないもの、Ⅳ度は排便時と無関係に常時脱出しているものです。
Ⅲ度の内痔核の大部分は一般に手術対象になります。
したがって痛みがなくても、脱出を認める方はできるだけ早く肛門科を受診することをお勧めします。
なぜならIII度であれば術後の痛みを伴わない手術治療法を行える場合が多いからです。

しかし痛みを伴うⅣ度の陥頓痔核のケースに移行すると、最終的には切除手術しか選択肢はありません。

肛門専門医療機関受診のタイミング

基本的には痔の症状を認めれば、まず肛門科を受診することが最適です。
しかし仕事が忙しいことや、受診の時間がない方も多く、市販の坐薬を購入して使用する方が非常に多いのも事実です。
そのような場合でも、繰り返す出血を認めるときはかならず受診してください。
痔核ではなく大腸癌の場合もあるからです。
実際に当院を受診された患者様で、痔核出血も認めるが、大腸癌からも出血していた場合がしばしば見受けられます。
大腸癌は年々増えている疾患ですので、自分は痔だと思い込まないことが大切です。

診療方法

診察方法・手順:まずは問診からはじまります。
痛み、出血、脱出物の有無やその状態、腫れ、かゆみ、分泌物やその他の症状についても患者様にききます。
また便通の状況や過去の病歴や普段の生活のリズムについても聞きます。

次に患者様に左側臥位になっていただき、まずは視診(見ること)と触診(触ること)により肛門周囲の状態や程度をみます。

次に指診といって、指を肛門内に挿入して肛門内部の状態をしらべます。
指診によって、痔の種類だけでなく、肛門狭窄の有無(すなわち肛門が狭くないかを)、そして大腸癌の有無も判断できます。

最後に肛門鏡といった鏡を肛門内に挿入して肛門内部の状態を直接見ることにより診断いたします。

以上でひととおりの診察が終了し、患者様に病状と治療方針を説明することになります。

続いて痔核の治療をご覧ください。

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