【院長ブログ】雇用時健康診断
お知らせ入社前健康診断とは?
入社前健康診断は、就職や転職時に必要とされる法定健康診断のひとつです。正式には「雇入時健康診断」と呼ばれ、労働安全衛生法に基づいて、事業者には新たに採用する従業員に対して健康診断を実施する義務があります。
入社前健康診断の対象者
入社前健康診断の対象となるのは「常時使用する労働者」です。平成19年(2008年)の行政通達によると、以下の条件を満たす場合、雇入時健康診断の対象となります。
- 期間の定めのない契約で雇用されている
- 1年以上の雇用が予定されている
- 更新によって1年以上雇用されている
また、パートやアルバイトであっても、所定労働時間が通常の労働者の2分の1以上の場合、事業者には健康診断を実施する努力義務があります。
健康診断の検査項目
「労働安全衛生規則」第43条では、雇入時健康診断の検査項目が以下のように定められています。
- 既往歴および業務歴の調査
- 自覚症状および他覚症状の有無の確認
- 身長、体重、腹囲、視力、聴力の測定
- 胸部エックス線検査
- 血圧測定
- 貧血検査(血色素量・赤血球数)
- 肝機能検査(AST、ALT、γ-GTP)
- 血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪)
- 血糖検査
- 尿検査(糖・蛋白の有無)
- 心電図検査
職種によっては、これらに加えて追加の検査が必要になることがあります。
入社前健康診断と定期健康診断の違い
雇入時健康診断と定期健康診断の大きな違いは、「検査項目の省略可否」です。雇入時健康診断では、すべての項目を実施する必要がありますが、定期健康診断では医師の判断により一部の項目を省略できる場合があります。
入社前健康診断の費用負担
健康診断の費用については法律で明確に定められていませんが、1972年の労働省通達により「企業が負担するのが原則」とされています。そのため、多くの企業では健康診断費用を会社側が負担する形を取っています。
結果による採用の可否
原則として、入社前健康診断の結果のみを理由に採用の可否を決定することはできません。ただし、安全運転が求められる職種(バス、タクシー、トラックのドライバーなど)では、特定の健康状態が業務に直接影響を及ぼす可能性があるため、慎重な対応が求められます。