【院長ブログ】心筋梗塞の治療法

お知らせ

急性心筋梗塞の治療は、初期治療、再灌流療法(必要に応じて冠動脈バイパス手術を含む)、そして合併症への対応という流れで進められます。

初期治療

救急搬送後、検査と並行して初期治療が行われます。特に循環器専門病院では、患者はCCU(冠動脈疾患集中治療室)で管理されます。

  • 酸素吸入と静脈ラインの確保
    まず酸素を投与し、鎖骨下静脈などにカテーテルを挿入して投薬の準備を行います。これにより治療を迅速に進めることが可能になります。
  • 胸の痛みの緩和
    胸痛が続くと心筋の酸素消費が増加し、さらにダメージを受けるリスクが高まるため、モルヒネなどの鎮痛薬を静脈から投与して痛みを和らげます。
  • 心筋の保護
    ニトログリセリンを使用して心臓への負担を軽減します。また、交感神経ベータ遮断薬を投与することで、梗塞範囲の拡大を防ぎ、不整脈の発生を抑えます。
  • 抗血栓治療
    アスピリンなどの抗血小板薬が使用され、血栓の形成を抑制することで再発リスクを減少させます。これにより死亡率を下げる効果も期待できます。
  • 不整脈への対応
    急性心筋梗塞では、心室細動(血液を送り出せなくなる状態)などの不整脈が頻発するため、これを監視し、早急に対処する必要があります。不整脈は発症後1時間以内の死亡原因の多くを占めるため、迅速な対応が求められます。

不整脈に対するリスクと対応

不整脈が発生した場合、心臓がポンプ機能を失うため、直ちに心肺蘇生や電気ショックが必要です。病院内では医師が薬剤投与や除細動を行えますが、問題は病院外での発症時です。このような場面ではAED(自動体外式除細動器)が重要な役割を果たします。AEDは現在、多くの公共施設に設置されており、周囲の人が操作することで救命が可能です。

救急搬送の重要性

急性心筋梗塞が疑われる場合、ためらわずに救急車を呼ぶことが非常に重要です。自家用車やタクシーでは、不整脈発生時に適切な対応ができませんが、救急車には必要な医療設備が整っています。迅速な救急搬送が命を救う鍵となります。

 

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