【院長コラム】乳がん検診の受けるタイミング
乳がん検診を開始する時期と推奨される間隔
日本における統計では、乳がんに罹患する方は40歳代から急激に増加し、50歳前後でピークを迎えることがわかっています。このリスクの高まりを受け、厚生労働省の指針に基づき、多くの自治体では**40歳以上の方を対象とした「2年に1回」のマンモグラフィ検診を推奨しています。
自治体の住民検診は公費による補助があるため、少ない自己負担で受診できるのが大きなメリットです。しかし、より高い精度で早期発見を目指すのであれば、自治体検診がない年度も任意で受診し、「毎年1回」のペースで検査を受けることが理想的とされています。
日常生活に取り入れたい「セルフチェック」の習慣
「検診さえ受けていれば安心」と思われがちですが、検診と検診の間の期間をどう過ごすかも非常に重要です。そこで推奨されるのが、毎月1回の自己検診(セルフチェック)です。
最適な時期
生理前は卵巣から出る黄体ホルモンの影響で乳房が腫れやすく、正確な状態を把握しにくい時期です。そのため、生理が終了してから1週間後くらいの、乳房が柔らかい時期に行うのが最も適しています。閉経後の方は、毎月決まった日にちを決めて行うとよいでしょう。
方法方法
お風呂で体を洗う際に直接触れて感触を確かめたり、鏡の前で乳房の形に左右差や凹みがないかを確認したりする習慣をつけましょう。
20代・30代からのスタート
本格的な検診対象年齢になる前であっても、今日からセルフチェックを始める価値は十分にあります。若いうちから自分の正常な乳房の状態を「手と目で記憶」しておくことで、万が一の異変にいち早く気づけるようになるからです。
早期発見がもたらす高い治癒率
乳がんは、早期に発見できれば決して怖い病気ではありません。他臓器への転移がない「早期乳がん」の段階、特にしこりの大きさが2cm以下の時点で見つけることができれば、治る可能性は非常に高いと言われています。
現代医学をもってしても乳がんそのものを完全に予防することは困難ですが、早期発見によって命と乳房を守ることは可能です。「検診で異常なし」という結果が出た時こそ、慢心せずにセルフチェックを習慣化させる絶好のタイミングと考えましょう。
異常を感じた時の対応と検査の使い分け
「しこりのような感触がある」「いつもと違っておかしい」と異常を感じた場合は、次回の定期検診を待つ必要はありません。速やかに「乳腺外科」を受診しましょう。
実際の診療(保険診療)では、検診の基本であるマンモグラフィに加え、「乳房エコー(超音波検査)」を併用して精査を行います。エコー検査は、乳腺が発達している日本人に適しており、職場健診や主婦健診でも積極的に導入され始めています。こうした機会を賢く活用し、多角的にチェックを受けることをお勧めします。
地域での登録と将来の備えについて
自治体が実施する乳がん検診は、事前に「登録」が必要なケースが多く、年度半ばで締め切られてしまうことも少なくありません。お住まいの地域の制度を早めに確認し、受診の機会を逃さないようにしましょう。
一般的に35歳を過ぎたら、毎月の自己検診に加え、年に1回は何らかの専門的な画像検査を受ける意識を持つのが望ましいといえるでしょう。乳腺症やのう胞、石灰化といった所見は、実は多くの人の乳房に潜んでいるものであり、必ずしも悪性というわけではありません。過度に恐れることなく、まずは自分の体の「今の状態」を正しく知ることから始めてみてください。








