【院長ブログ】睡眠不足
睡眠不足について
質の悪い睡眠は生活習慣病のリスクを高め、かつ症状を悪化させることが分かっています。
「睡眠習慣」と「睡眠障害」の問題
- 睡眠習慣と生活習慣病
日本人、特に子供たちや就労者の睡眠時間は世界で最も短いと言われています。女性は家事や育児の負担が大きいため男性よりもさらに睡眠時間が短く、平日・週末を問わず慢性的な寝不足状態と言えるでしょう。
慢性的な睡眠不足は日中の眠気や意欲低下・記憶力減退など精神機能の低下を引き起こすだけではなく、体内のホルモン分泌や自律神経機能にも大きな影響を及ぼすことがあります。例えば、健康な人でも一日10時間たっぷり睡眠した日に比較して、寝不足をわずか二日間続けただけで食欲を抑えるホルモンであるレプチン分泌は減少。逆に食欲を高めるホルモンであるグレリン分泌が亢進することで、食欲が増大するこなど、わずかの寝不足によって私たちの食行動までも影響を受けるのです。
実際に慢性的な寝不足状態にある人は糖尿病や心筋梗塞や狭心症などの生活習慣病になりやすいことが明らかになっています。
睡眠障害と生活習慣病
睡眠障害もまた生活習慣病の発症に関わっています。以前から生活習慣病患の患者さんは、睡眠時無呼吸症候群や不眠症の方が多いことが知られていました。さらにその後の多くの研究によって、睡眠障害が生活習慣病の罹患リスクを高め症状を悪化させることや、その発症メカニズムが明らかになりつつあります。
例えば睡眠時無呼吸症候群の患者さんでは、夜間の頻回の呼吸停止によって「低酸素血症と交感神経の緊張(血管収縮)」「代謝異常(レフチン抵抗性・インスリン抵抗性)」「酸化ストレスや炎症」などの生活習慣病の準備状態が進み、その結果、5~10年後には高血圧・心不全・虚血性心疾患・脳血管障害などを招きやすくなります。
また慢性不眠症の患者さんもまた、「交感神経の緊張」「糖質コルチコイド(血糖を上昇させる)の過剰分泌」「うつ状態による活動性の低下」「睡眠時間の短縮」など多くの生活習慣病リスクを抱えています。入眠困難や中途覚醒・早朝覚醒など不眠症状のある人では良眠している人と比較して糖尿病になるリスクが1.5~2倍になると言われています。